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ChatGPT等の生成人工知能(生成AI)利用に関する留意事項等について

[2023年6月13日]

近年、人工知能(AI)の開発が進み、文章やプログラムコード、画像や動画等の作成が可能となっています。代表的なものとしては、文章等を作成できる「ChatGPT(※1)」等の生成AIが挙げられ、議論が高まっています。
※1
・Generative・・・生成力を持つ
・Pre-trained・・・ディープラーニングで事前に学習された
・Transformer・・・変成器

そして、今後ますます技術が進み、また社会にも深く広く浸透していくことが予想されます。多摩大学としては、学生の皆さんによりよい「学修成果」を得てもらうべく、こうした新技術を柔軟に活用し、また危惧される側面にも十分に配慮し、「学修」に向き合ってもらいたいと考えています。
このメッセージでは、以下の4点を軸に、生成AIをめぐる現状と課題、大学での利用についての見解を記述します。

1 AIの本質的課題
2 生成AIに対する接し方
3 概念的理解、法整備、及び危険な側面の理解
4 大学で生成AIを利用するに当たっての留意事項
・レポートの作成、課題の作成、卒業論文・修士論文の作成、学期末試験等において、生成AIが出力した内容を、そのまま使用することを禁止します。
・生成AIが出力した内容を引用する際は、出典として明記してください。

はじめに

現在話題になっている生成人工知能(生成AI)は、大量のデータをもとに確率的に最も合理性の高い続きを予測して出力します。
生成AIの機能や概念の進化はまだまだ途上で、いろいろなアイデアから様々な分野への応用が、現在もものすごい速度と勢いで進んでいます。
大学は「学修」の場です。新しい技術である生成AIをこの「学修」にどのように取り込むか、多摩大学の学生や教職員が、生成AIに対する向き合い方を自身で考えなくてはいけない時期に立っています。
そこで、ここでは生成AIをめぐる現状と課題について大学としての現在の見解を記述します。

1 AIの本質的課題

AIの本質的課題は、下記のとおりです。
・自律性の欠如:あくまで疑似的自律性で、本質的に他律性により成立しているため、不正確な情報を吸収、生成してしまう構造となります。
・結果への責任が不明:判断の根拠となるデータが見えないことに加えて、発生した問題にAIが責任を取ることはありません。

2 生成AIに対する接し方

生成AIは社会的には新しい分野です。そして、その可能性の大きさから、メディアでも頻繁に取り上げられています。ただし、頻繁に取り上げられるがゆえに誇張や間違った情報もたくさんあります。学生の皆さんはこのようなテクノロジーを積極的に使いたい人、距離を置きたい人さまざまだと思いますが、まずは、新しい技術であるこの生成AIを自分で試して自身の目で確かめることをお勧めします。
また、ChatGPTを実際に使ってみると、人間の質問力が鍵となることに気付くでしょう。質問力とは、条件、文脈、立場を明示することです。このような質問をもとに生成されたものは、人間がチェックすることを基に、文章作成や要約に利用できると考えますが、書き手の創造性が発揮されるような文書レベルにはなっていません。よって、目的に合わせ、人間がいかに利用するかが大切となっていきます。

3 概念的理解、法整備、及び危険な側面の理解

生成AIはあまりの発展の速さから、まず、人々の生成AIに対する理解が追いついていません。これまでのように、数週間単位で世界範囲のレベルで生成AIに対する認識と考え方や態度が変わります。そこからすなわち法整備も追いついていません。
また、生成AIが作成したものは、著作権がどこにあるのかが人々の認識的にも、法律的にもまだ明確にはなっていません。そして、生成AIが作成したものは、作った本人(生成AI)が真似をしたという意識がなく、依頼した本人(人間)も何を参照したのかがわからないという事態が起き、他の誰かの著作に似ていた場合、その判断が難しくなります。生成AIにおける著作権に関する世の中の動向は、十分に注視していく必要があります。
便利な側面や可能性を見出すシーンが多く語られる生成AIですが、危惧されていることも多くあります。生成AIは、ユーザーとの会話をも学習して蓄積します。また、それは他者のデータとしても活用されます。つまり、個人情報や機密情報等、公開されてはいけない情報は絶対に入力してはいけません。
また、新しい概念や技術の利用については「自分は悪意がなくとも、知らず知らずに他者を傷つけていた」ということが起きがちです。自身が使うときに、他者から見て悪意のある利用になっていないか、他者に悪意ある利用をされたときに危険な情報共有にならないか等柔軟な想像力を持って接する必要があります。AI利用を通じて社会的危険を積極的に増大させることのないよう、良識ある利用を守ってください。

4 大学で生成AIを利用するに当たっての留意事項

「国際化・情報化時代に即応して、学生に高度な外国語能力と世界に通用する教養・最新の経営知識及び的確な情報処理能力を修得せしめ、国際的ビジネスの場で活躍できる人材の育成を目指すとともに、わが国の産業社会の健全たる発展に寄与する指導的人材を育成することを目的」とする多摩大学における「学修」において、生成AIを扱うことは積極的に行うべきだと考えます。ただし、
・レポートの作成、課題の作成、卒業論文・修士論文の作成、学期末試験等において、生成AIが出力した内容を、そのまま使用することを禁止します。
これは、これまでの「ウェブ検索をして出てきたWikipediaの内容をコピペした」「先輩や友人のレポートを丸写しした」すなわち剽窃と同じことです。ここは大学であり、みなさんは学修をするために在籍しています。単純にコピー&ペーストしたものをそのまま提出するだけでは、学修にはなりません。
一方で、生成AIをレポートや論文作成に一切使ってはいけないという意味ではありません。図書館で調べたり、ウェブ検索エンジンを活用したり等と同様に、学修のきっかけとしての活用は意味があると思います。

・生成AIが出力した内容を引用する際は、出典として明記してください。
これまでも、ウェブやSNS等を有効活用して、学修する際の参考にしたり、レポートを書くときの参考資料にしたりして、そこを起点としたいろいろな学修が起きているでしょう。生成AIについてもまずは同じ感覚で接するようにしてください。あくまでも学修とは何かを自分で考えながら、調べて、考えて、自身の手と頭を使って学修に励んでください。

 

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