多摩大学 現代の志塾

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多摩学

多摩グローカリティー(ローカリティー×グローバリティー)の追求で
多摩大学のアイデンティティを確立する

本学における「多摩学」は、グローバルの中でのローカルの立ち位置として「多摩」およびその周辺地域に関する地歴的特性を重視した研究を深め、教育・研究・地域貢献に活かすプログラムを一体的に開発し、その分野の先駆的役割を確立することをその目標としている。本学がとらえる「多摩」とは、いわゆる「三多摩」地域に限定することなく、多摩川流域と相模川流域を挟んだ圏域を対象としている。幕末維新史における役割、自由民権運動史における役割、20世紀都市開発における東京の先進的周縁地域(「田園都市」)としての役割など、多摩地域は日本が近代以降に歩んだ道に対して大きな示唆・影響を与えてきている。

「多摩学」では、教育・研究・社会貢献等の各分野において「多摩」地域を積極的・系統的にとりあげ、大学・学生がもつ資源や活動の成果を多摩地域に還元しているかが問われることとなる。本学が育成する人材は、多摩グローカル人材であり「多摩」のローカリティーとグローバル世界とのつながりを意識できる人材である。地域貢献に対する本学のアイデンティティを確立し高めるため「多摩」地域と本学教職員・学生の活動とを、教育・研究・社会貢献等の各側面で結びつけるプラットフォームとして「多摩学」に関する取り組みを継続し、積み重ねている。

寺島実郎学長メッセージ

グローバリティーはローカリティーとの相関(グローカリティー)の中でこそ意味を持つ。
多摩大学は多摩という地域性を深化させる中で「世界とのつながり」を持っていきたい。
多摩川と相模川に挟まれた地域を広義の「多摩」として、その地歴を探り、この地域の持つ意味と可能性を多角的・学際的に探求する「多摩学」を一つの共通テーマとしていきたい。

多摩学の発見 ―多摩大鳥瞰図絵の試み

多摩大学特任教授 久恒 啓一

 江戸時代に鳥瞰図絵師という職業があった。風景をまるで鳥になって上空から見下ろすように描くことができる絵描きである。この手法は屏風に描かれた絵巻物を源流としており、全国の名所をこの手法を使って描いた浮世絵は今も多くの人を魅了している。山や川、都市の建物など並んでいる順序は正しいのだが、一枚におさめるためにゆがんでいることもこの手法の特徴のひとつだ。この図絵は全体を俯瞰しており、位置関係が一望できるので人気があった。

 大正時代にこの手法を発展させた吉田初三郎という鳥瞰図絵師がいて、全国の景勝地を描き、鉄道の建設で始まった観光ブームに火をつけた。「大正の広重」と称したこの人の展覧会を見たが、錦絵のような鮮やかな色彩と、富士山や見えるはずのないアメリカや樺太を描くなどの大胆なデフォルメという手法を駆使しているため、世界や日本の中での景勝地の位置がよく理解できた感じになった。この絵描きは見えるはずのない高みに視点を定め、風景を切り取る作業をしたわけだが、どうしてそういうことができたのだろうかと不思議な気持ちで感動に浸ったことがある。

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