9月6日、多摩大学では、ジェロントロジー(高齢化社会工学)研究の一環として、山梨県南アルプス市との連携事業 第17弾を実施しました。
当日は、一般参加者(13名)、学生(8名)、教職員(6名)ら計27名が参加しました。5月に田植えを行った南アルプス市下市之瀬地区にて、地元農家・櫻田力氏のご指導のもと稲刈りを予定していましたが、台風24号の影響により屋外での稲刈り体験は中止となりました。
しかし、現地ではプログラムを変更し、南アルプス市の豊かな歴史や文化を深く学ぶフィールドワークおよび歴史講座を開催しました。地域の魅力を再発見する大変貴重な機会となりました。
■ 地域の歴史と施設をめぐるフィールドワーク
午前中は、「南アルプスふるさと文化伝承館」を訪問しました。講師としてお迎えした南アルプス市教育委員会文化財課の斎藤秀樹氏より、市の歴史の成り立ちや受け継がれてきた文化遺産について解説を受けました。館内では、国重要文化財である鋳物師屋遺跡出土の「人体文様付有孔鍔付土器」をはじめとする縄文資料の見学や、御勅使川(みだいかわ)扇状地における治水・利水の歴史について深く学びました。
続いて、アヤメの里活性化施設「ほたるみ館」へ移動し、稲刈りでご指導いただく予定だった櫻田力氏よりこれまでの「稲の育成記録」についてご説明いただいたほか、南アルプス特産品企業組合の理事長 川﨑芳博氏からは、特産品の製品化推進や農村地域の活性化に向けた取り組みについてお話を伺い、温かい交流のひとときを過ごしました。
■ 講座『武田家最後の忠臣 〜土屋昌恒と金丸氏の歴史をたどる〜』
午後のメインプログラムとして、南アルプス市徳永に佇む曹洞宗長盛院にて歴史講座を実施しました。引き続き斎藤秀樹氏を講師にお招きし、『武田家最後の忠臣 〜土屋昌恒と金丸氏の歴史をたどる〜』と題してご講演いただきました。
【講座の概要】
天正10年(1582年)3月、織田・徳川軍の侵攻により武田勝頼は最期を迎えました。多くの家臣が離反していく中、南アルプス市徳永出身の金丸家3兄弟は勝頼に最後まで忠義を尽くしました。とりわけ5男の土屋昌恒は、田野の戦いにおいて「片手千人斬り」の伝説を残すなど、武田家屈指の忠臣として知られています。
講座では、金丸氏の館跡に建てられた長盛院を舞台に、武田家滅亡の軌跡や、昌恒の遺児が徳川家康に見出されて初代上総久留里藩主となり、その後の土屋家へとつながっていく歴史のドラマについて詳しく解説していただきました。
■ 通常非公開の市指定文化財を特別に見学
講演後は、長盛院の境内および所蔵文化財の見学を行いました。
今回は特別に、お釈迦様の入滅を描いた「絹本著色仏涅槃図」や「紙本墨書長盛院の大般若経」といった、普段は非公開とされている南アルプス市指定文化財をご拝観させていただき、参加者は江戸時代の禅宗文化の深さに触れる貴重な機会を得ました。
あいにくの悪天候により稲刈り自体は叶いませんでしたが、地域の歴史や文化財に直接触れることで、多摩大学が目指す「食」や「農」、そして地域社会とのつながりを捉え直す大変充実したフィールドワークとなりました。
本学では今後も、地域社会と連携した学びと社会参画の場を積極的に提供してまいります。

南アルプスふるさと文化伝承館にて、展示品について解説する斎藤秀樹氏
発掘された縄文土器の修復・復元(再生)作業場を見学する学生たち
斎藤氏による出土品や地域の歴史についての解説
ふるさと文化伝承館にて
これまでの「稲の育成記録」について解説をする櫻田力氏
農村地域の活性化の取り組みに関する説明をする 南アルプス特産品企業組合の理事長 川﨑芳博氏
長盛院にて『武田家最後の忠臣 〜土屋昌恒と金丸氏の歴史をたどる〜』と題して講演を行う斎藤秀樹氏
「絹本著色仏涅槃図」の解説をする長盛院のご住職

「紙本墨書長盛院の大般若経」を拝見する参加者たち
曹洞宗長盛院にて

















燕市産業史料館





























