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第8回「ホスピタリティ観光セミナー」を開催

[2023年9月28日]

2023年9月25日(月)、鎌倉市、鎌倉市観光協会と多摩大学の3者包括協定に基づき、鎌倉芸術館にて最終回となる第8回ホスピタリティ観光セミナーを開催しました。

今回は本学寺島実郎学長が会長を務める一般財団法人 日本総合研究所 理事長の松岡 斉氏を講師にお迎えし、「ジェロントロジーと美麗学」をテーマにご講演いただきました。

講演では、少子高齢化社会の時代に100年人生にフォーカスした一人ひとりが地域や社会が抱える課題にチャレンジすることで、持続可能な地域づくりに貢献する取り組みが紹介されました。

【第8回セミナーの目次】
1)ジェロントロジー研究フェーズの活動内容と成果
2)研究フェーズから実行フェーズへ

まず、高齢化社会に対する認識について、これまで高齢者は「社会的コスト負担(医療、介護、年金等)」の視点から捉えられることが多く、ジェロントロジーは老年学と考えられていたと説明がありました。そこからパラダイム転換が必要とされ、これからは高齢者を「社会を支える側に参画する主体」と捉え、そのためのプラットフォームづくりや新たな社会システムを構築すべきであり、ジェロントロジーは「高齢化社会工学」、「知の再武装」として理解されるようになりました。全世代が心身共に健康で、より活力や幸福を感じられる社会システムの構築を目指すことが重要になると示されました。

次に2018年6月から2020年9月までの(一財)日本総合研究所の様々な取り組みが紹介され、研究の段階から実行の段階についての説明がありました。

最後は、100歳人生をどのように美しく齢を重ね、生き抜くかについて鎌倉市を例に挙げながら説明されました。2020年の人口172,710人は、2040年には148,992人まで減少する見通しで、20年間で約24,000人減少しますが、高齢者数(2020年の老年人口、65歳以上)は53,517人で、高齢化率は31%です。しかし、2040年には高齢化率は約39.5%にまで上がり、全国平均より高い率となります。
鎌倉市の課題について、オーバーツーリズムはよく話題に上がりますが、高齢化の加速によって住民交流、担い手不足によるまちづくりや地域コミュニティの機能低下がおきます。それを好転させるために、多能工人材(シニア層)と若い人材の交流・連携による高付加価値型の産業(観光・農業)を通じた持続可能な地域力(まちづくり)の創造がポイントで、鎌倉の魅力(歴史、文化、食・農のバランス)と健康寿命により好循環させることが重要ではないかとの見解が話されました。

また2023年10月21日(土)に、「健康」「多世代交流」、「農業」、「観光」などをキーワードにしたイベントが開催されることになりました。これは、2023年2月に開催した寒川町「ホスピタリティ観光セミナー」で松岡講師が講演された際の受講者の方から出た意見を基に実現化したイベントです。今後、鎌倉市でも同様のイベントが開催されることが期待されます。

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寒川町観光協会・多摩大学共催 第5回「ホスピタリティ観光セミナー」開催
参考文献:寺島実郎『ジェロントロジー宣言「知の再武装」で100歳人生を生き抜く』、NHK出版新書560、NHK出版、東京、2018年
後援:鎌倉市、鎌倉市観光協会、鎌倉商工会議所

  • (一財)日本総合研究所 理事長 松岡 斉氏
    (一財)日本総合研究所 理事長 松岡 斉氏
  • 講演の様子
    講演の様子
  • 会場の様子
    会場の様子
 

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