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2025年留学体験記 ドイツ ブレーメン経済工科大学

[2025年12月17日]

2025年10月から2026年2月まで、ドイツ ブレーメン経済工科大学に交換留学中の学生から留学レポートが届きました。

授業について

基本の授業スタイルは、多摩大学で行われている授業と特別変わった印象はありません。しかし、日本に比べ圧倒的に学生の発言が求められるほか、教授によっては学生の机まで直接回ってきます。授業の合間ごとに、周辺の学生とディスカッションをすることが求められます。授業は全て英語で行われますが、教授や学生を含め、英語ネイティブ話者は殆どいません。そのため世界中のさまざまなアクセントが飛び交い、リスニングには特に気をつけなければなりません。また自分が喋る場合も、聞き手の事を考え、「流暢に英語を喋る」事が正しいわけではないと気付かされました。

特に難しいのは、欧州では「常識」とされている事に対して、ついていけない部分が多々あることです。世界各国から学生が集まっているものの、殆ど欧州圏出身者が占めているため、「認識の差」を感じたタイミングで、疑問を放置せず質問することが大切です。前提知識がない状態で、授業が終わるころには何も頭に残らず、終了してしまうことがありました。

今回私が履修した授業では、すべての授業でグループを形成し、期末期間にプレゼンテーションを発表しなければなりません。ドイツをはじめ欧米、南米、アジアの広い地域では、LINEではなく「WhatsApp」というメッセージアプリが主流です。アイコンもLINEと非常に酷似しているほか、様々なバックグラウンドを持つ環境でプロジェクトを遂行する難しさを感じています。ビデオ通話で共同作業する場面では、日程調整通りに集まらなかったり、アクセントをお互い聞き取れなかったりなどがありました。

生活について

現在は学生向けのアパートで一人暮らしをしています。事前に受け入れ先の大学から、指定の留学生向け住宅のリストが送られてきていました。しかし、住居が中々決まらず、結局到着後1週間程度はホテル生活となってしまいました。住居関連では、現地で交流している留学生の多くが同じような経験をしており、事前に決まっていた学生も、到着後トラブルが発生し引っ越しをした学生も多くいます。

私の住んでいるアパートも、他の学生のトラブルに比べたら些細なものですが、水漏れが発生し排水ポンプが2週間部屋に設置、キッチン周りの取り替え工事のため部屋の荷物を一度撤収したりなどがあります。中々落ち着いて生活はできず、一筋縄ではいきません。住居については、トラブルはかなりの覚悟を持って来た方がいいと思いました。

またドイツでは行政機関の業務が非常に遅く感じます。私は日本で出発前にビザ取得の予約が取れなかったため、到着後申請しました。しかし、申請してから2ヶ月以上経過しても返信が届きませんでした。12月を過ぎると「不法滞在」になる旨を訴えた催促メールを5回ほど送信し、申請からちょうど2ヶ月半で受付が受理されました。転入届も3時間以上役所の前で待機するなど、行政手続きで時間を大きく取られることを念頭に行動する事をおすすめします。日本同様、紙と現金文化が根強く、電子申請はほとんどできません。大量の申請書類を記入する必要があります。

食事は原則自炊をしています。昼休みは大学の学食で食べる事が多いですが、基本外食をすることは、人と交流することがない限りありません。大手ファーストフードは軒並み、一食日本円で2000円はします。レストランとなると最低4000円程度となり、非現実的です。円安の影響を強く受けるため、現地のスーパーマーケットのアプリ等で「特売品」を注視しつつ、複数店舗を周り食費を抑えることを心がけています。お気に入りはバナナです。

ブレーメン市内、またドイツ国内全般ですが、公共交通機関が非常に発達しています。ブレーメン市内においては、路面電車・バス路線網が毛細血管の如く張り巡らされており、どこに行くにも非常に便利で、10分〜20分おきに概ね運行している路線が殆どです。

在学期間中は、大学のアプリで「Deutschland Ticket」というドイツ国内の公共交通機関が全て乗り放題のパスが支給されるため、鉄道会社やバス会社を気にせずどこでも気軽に乗車できます。しかしICE、IC(新幹線・特急列車に相当)や高速バスには乗車できない制約があるものの、非常に便利です。私は路面電車で30分ほどかけて通学しています。週末は遠出も交通費に関しては発生しないため、気分転換のつもりで旅行に出かけることができます。

ただし、地域の鉄道会社とは別に、DB(ドイツ国鉄)の列車は深刻な人手不足等により輸送障害が社会問題となっており、頻繁に運休や1時間以上の大幅遅延が常態化しています。接続切りに遭遇し、途中で長時間待たされることや計画が崩壊することは常に想定しなければなりません。

大きく困るのはドイツ語が一番の問題です。もしドイツに留学を予定しているのであれば、事前の学習を強く推奨します。スマホ翻訳があるとはいえ、やはり限界があります。また、英語で押し通すのは現地の方へのリスペクトに欠けると私は感じており、最初から英語で「押し通す」のが透けて見えると相手も気持ちのいいものではありません。

またドイツでは、携帯回線の通信が不安定なのも社会問題となっており、建物に入った瞬間圏外になることが日常茶飯事です。特にスーパーに入店した時などは、翻訳が使えず苦労しています。基本的には、スマホを使わず自力で課題を解決する場面が多いです。すぐ周りに助けを求め、考えて行動することが非常に増えました。

留学を通して学んでいること

語学力の変化は、英語に関してはまだわかりません。しかし、ドイツ語はやっと聞き取れるようになった気がします。もちろん、買い物をするときなどは最低限できないと話になりません。異文化の理解は大幅に受け入れられるようになったと感じています。一番理解できるようになったのは、欧米圏よりも中央アジア圏だと感じています。

日本にいても欧米系の異文化は、ある程度想像もできる他、圧倒的マジョリティであるため、その中で生活するため日々感じることができます。しかし、ウズベキスタン、ジョージアなどの国々の方と話す機会は日本だと限られています。彼らと交流し、旅にでることにより知らなかった文化を知ることができました。ドイツに来ていちばんの交流のメリットは、欧米ではなくむしろ日本で触れることの少ない国の人々と交流できることだと思います。

自分の成長は、行動を起こすことに億劫になることが圧倒的に少なくなりました。迷っていると、何もできない上に助けてくれる人がいないからです。「空気を察する」ことは皆無で、困っている顔をしても助けてくれる人はいません。日本のように黙って歩いていても、なんとかなることはないからです。

これから留学を検討している学生へのメッセージ

ドイツは水道水がEUの中でもかなり綺麗な部類に入るらしく、飲むことが可能なため、他の国に比べて非常に暮らしやすいと思います。また治安も比較的いい方に入ると思います。しかし、多くのカルチャーショックに遭遇し、行政手続きではかなり多くのトラブルに遭遇します。そうしたトラブルに、原則一人で立ち向かわなければなりません。日本で如何に恵まれた環境にいるか、肌で強く感じることができ、トラブルが発生しても動じなくなることができると思います。

ドイツは周辺国や様々な人たちで、社会が構成されているのを強く実感できます。特に、トルコ系の方々は戦後の立て直し時期から多く受け入れて来たことから、ドイツでは「ケバブ」が今では国民食となっています。多くの国と陸続きであり、非常に多くの価値観に触れることがあります。「英語圏」に行こうと思っている人は、今一度ヨーロッパを強くお勧めします。

EUの学生になると、シェンゲン協定圏内であれば気軽に旅行することができます。大学生の間に、ヨーロッパを気軽に回れる機会としても旅行好きには嬉しいです。

 

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