学部・大学院
経営情報学部
問題解決学総論
実学志向の多摩⼤学経営情報学部では、産業社会の問題解決の最前線に立つ力の育成を重視している。そのためには、各種講義や演習で学ぶ知識を組み合わせ、様々な問題にどう挑み、解決するかを修得する必要がある。
この目的から、この科目では毎回異なる教員が様々な分野のテーマを取り上げ、そのテーマに関して「問題はどこにあるか(解くべき問題は何か)」「なぜ問題となっているか」「その問題をどのように解決するか」などを、事例や方法論の立場から解説する。
Aグループ
コーディネーター:出原、中庭
講師 | テーマ | |
---|---|---|
第一回 | オリエンテーションおよび問題解決学基礎 | |
第二回 | 杉田 文章 | 余暇をめぐる問題発見と矛盾 |
第三回 | 金子 邦博 | 「幸せな売り場のつくり方」を考える |
第四回 | 諸橋 正幸 | プロジェクトのすすめ方 |
第五回 | 椎木 哲太郎 | 社会経済問題解決のために |
第六回 | 久恒 啓一 | 図解思考を用いた問題解決の軌跡 |
第七回 | 金 美徳 | アジアの問題を解決する |
第八回 | 春田 尚徳 | コミュニケーション技術のインパクト-どうしたらできるようになるか? |
第九回 | 今泉 忠 | 非合理的意思決定とフェルミ推定 |
第十回 | 村山 貞幸 | イベントの企画運営を通じて社会人基礎力を成長させる |
第十一回 | 大森 映子 | 観光資源の公開と維持-修復をめぐって |
第十二回 | 常見 耕平 | 映画『チアフリー』を通して、問題とその解決を考える |
第十三回 | 彩藤 ひろみ | クリエイターがクリエイト思考すること |
第十四回 | 中庭 光彦 | 水道水が足りなくなったら?多摩地域の場合 |
第十五回 | 野田 一夫 | A・B合同 |
Bグループ
コーディネーター:下井、豊田
講師 | テーマ | |
---|---|---|
第一回 | オリエンテーションおよび問題解決学基礎 | |
第二回 | 広瀬 一郎 | 講義内容 |
第三回 | 清松 敏雄 | 講義内容 |
第四回 | 酒井 麻衣子 | 講義内容 |
第五回 | 下井 直毅 | 講義内容 |
第六回 | 樋口 裕一 | 講義内容 |
第七回 | 趙 佑鎭 | |
第八回 | 望月 照彦 | |
第九回 | 大森 拓哉 | |
第十回 | 浜田 正幸 | |
第十一回 | 齋藤S. 裕美 | |
第十二回 | 梅澤 佳子 | |
第十三回 | 中村 有一 | |
第十四回 | 豊田 裕貴 | |
第十五回 | 野田 一夫 | A・B合同 |
Aグループ
第五回「社会経済問題解決のために」
講師:椎木 哲太郎先生
今日の問題解決学総論もおもしろかった!椎木哲太郎先生による講義だったのだが、テーマは「社会経済問題解決のために」。新自由主義から社会民主主義への現在の流れ、歴史的源流を見事に解説いただいた。「大問題解決の中に、小さなヒントがある」。
第六回「図解思考を用いた問題解決の軌跡」
講師:久恒 啓一先生
本日の問題解決学総論は久恒啓一先生の「図解思考を用いた問題解決の軌跡」。多摩大には「図解の久恒」「文章の樋口(裕一先生)」という二人のカリスマがいるのだが、考えればこれも贅沢な環境だ。 京都大学入学以降、日本航空での労務対策や広報室、宮城大学、そして多摩大への自らの来歴、エピソードから「図解」に信頼を置くプロセスをうかがった。
私は「文章にしないと、論理が見えない」と思っている人間だから、図解にされると「何かごまかされているのではないか?」と思ってしまうのだが、配布された行政の長期計画資料の図などは見事。それぞれ利害をもつ多数の人が合意形成を行うための技術として、図解は最強のものの一つだろう。多摩大から合意形成学が生まれるかもしれない。
第七回「アジアの問題を解決する」
講師:金 美徳先生
今日の問題解決学総論は金美徳教授による「アジアの問題を解決する」。
アジアの課題は何か?ビジネスチャンスは何か?
2030年にはアジアのGDPが世界の50%を占めるという。その実感を学生はまだ想像できないようだった。20年後、学生が中堅になっているころ、ビジネス環境はどうなっているのだろう?大いに刺激された。
第八回 「コミュニケーション技術のインパクト-どうしたらできるようになるか?」
講師:春田 尚徳先生
本日の問題解決学総論Aは春田尚徳教授による「コミュニケーション技術のインパクト-どうしたらできるようになるか?」。
1946年のコンピューター第一号開発から、現代ににいたる金融システム開発までの流れを、情報技術による問題解決という側面から説明された。 「現在は過去のすべてからできている」「本当に重要なことは感じること」「多くの問題は成功の結果起きる」といった至言があふれていた。
第九回 「非合理的意思決定とフェルミ推定」
講師:今泉 忠先生
今泉忠先生による「非合理的意思決定とフェルミ推定」。日本の電球市場規模はどの程度か?というようなとらえどころの無い量を、「部屋に一つ電球がある」「一世帯に4部屋ある」といくつもの仮定を積み重ね推定するのがフェルミ推定。最近は、就職試験にもよく使われるらしい。
それはさておき、1時間ほどの講義では、主観的認知確率による意思決定(プロスペクト理論)や個人的意思決定と社会的意思決定の違いなどを、このような難しげな言葉は一切使わず易しく説明された。
きちんと説明すると5回分にはなる講義が1時間に凝縮された講義でした。終了後、今泉先生にこのことを言うと「私は、1か2のどちらか選べと言われたら、両方選んでしまう人間でね」とおっしゃる。よくばりなんですね(笑)。
第十一回 「観光資源の公開と維持-修復をめぐって」
講師:大森 映子先生
今日の問題解決学総論Aは大森映子先生による「観光資源の公開と維持-修復をめぐって」。世界遺産に指定されている姫路城が大修理で覆堂がかかってしまい観光客が減少した。どうしようと悩んだ末に「発想の転換」で生まれたアイデアが、修復現場を見せてしまえという「天空の白鷺計画」。以後、客数はどんどん増えていった。修復技術を後生に残すのにも一石二鳥。
今日もおいしい料理をいただきました。ごちそうさまでした。
第十二回 「映画『チアフリー』を通して、問題とその解決を考える」
講師:常見 耕平先生
今日の問題解決学総論は常見耕平先生による「映画『チアフリー』を通して、問題とその解決を考える」。チアフリーは吉川友主演。スィングガールズと下妻物語を足して二で割った感じ、といったら常見先生に怒られるか(笑)。
映画だから、当然乗り越えるべき課題が設定され、それを様々な障害を乗り越え結末に向かう。
学生はどのような問題をそこに見たのだろう。
第十三回 「クリエイターがクリエイト思考すること」
講師:彩藤 ひろみ先生
今日の問題解決学総論。彩藤ひろみ先生による「クリエイターがクリエイト思考すること」。
問題解決のプロセスを、システムデザインの観点から説明され、たいへんおもしろかった。
第十四回 「水道水が足りなくなったら?多摩地域の場合」
講師:中庭 光彦先生
今日の問題解決学総論は第14回目。私の講義の回。「水道水が足りなくなったら?多摩地域の場合」と題して、高度成長期に多摩地域各市による市営水道体制から水不足問題を解決するために、多摩地域水道都営一元化を行った事例を紹介した。
問題解決はあらたな問題を呼ぶ。そういう例で、出来事の経路がどのような意思決定の連鎖で生まれたのか。それをわかり解きほぐすことが、問題解決の第一歩だ、という話をした。
多摩地域水道の都営一元化過程については、2011年度の紀要で読めるので、詳しいことを知りたい人は一読を。
その後、樋口先生、高野課長と打ち合わせ。私が大ファンであり続けている漫画家の西原理恵子氏と樋口先生が仲良しと聞いて、これまたビックリ。
Bグループ
第二回
講師:広瀬 一郎先生
「問題解決のあるべき姿(答え)は「自分」である。問題を他人のせいにするな」という問題解決に挑む心構えからスタート。それは、広瀬先生が大切になさっている「Good Fellowすなわち信頼に足る人間になる」ことにも共通する心構えとのことだ。
また、「問題解決の方法は教えられるが、問題を発見するセンスは教えられない。だから(センスの向上を)意識して生きていかなければならない!」といきなり学生に火を付ける。「それは「教えること」はできるが、「学ばせること」はできない。「教える」主体は教員だが、「学ぶ」主体は学生だから。「記憶」は「忘れる」ことがあるが、「学ぶ」と忘れない。なぜなら「身体知」になるからだ」とのこと。
このメッセージに、教室の至る所で「やらねば!」という気配が一気に漂う。
そのうえで、課題解決に必要となる能力(3つ)、そして課題解決の手順(7Steps)について、「岡田ジャパン」の例をもとに解説がなされた。かなり高度な内容ではあったが、具体的、かつ様々なエピソードを交えた説明で、学生が引き込まれる。問題解決学の本質が伝わった素晴らしい内容であった。
第三回
講師:清松 敏雄先生
問題解決に先んじて、問題を発見するヒントとして「直感」もしくは「右脳」の重要性を指摘(問題を見つけるというのは、論理的な思考だけではないとの指摘)。「勉強をまじめにやれば、いいビジネスマンになれるかというとウソ。感性が衰えていれば、問題に気がつかなくなってしまう」とも。
その上で、「問題発見には、比較が必要だ」との視点から問題解決学が語られていく。比較のパターンとして、(1)対象間比較(企業間比較)と(2)期間比較があり、また、観点として収益性・効率性からの比較(投資額と利益の比較など)という多面的な比較の重要性を専門の会計の視点から解説された。実際の財務データなどリアリティのある事例と「なるほど!」と思わせる解説により、わかりやすく、奥の深い内容の素晴らしい講義であった。
第四回
講師:酒井 麻衣子先生
「問題を解決するには問題発見が必要だ。さらに問題の詳細な検討により、解決策のヒントになる情報を見つけることも必要だ」というスタンスから、そのヒントの宝庫となりうる顧客データの分析視点を解説。IT化の進展によりますますビッグデータが蓄積される時代での問題解決学として、学生にとって「なるほど、データ分析って面白い」と再認識させる素晴らしい講義が展開された。
具体的には、ある会社の顧客履歴データをもとに、データに基づいて、個々の顧客ニーズをとらえ、顧客とのリレーションシップを構築する(ワン・トゥ・ワン・マーケティング)の事例をもとに、途中、実際に学生にワークをさせるなど、学生が引き込まれる形で話が進む。問題解決についての知識と同時に最新のマーケティング感についても改めて学習できる機会となった。
第五回
講師:下井 直毅先生
「問題は生じるもの、課題は生み出すものだ」と端的かつ問題解決力の本質を突く指摘から講義が始まる。その後、専門である経済学の視点から、この点を解説すべく、アダムスミスが「見えざる手」という考えに至る過程を歴史的プロセスとともに解説。アダムスミスが取り上げた問題として、1)社会秩序の問題、2)財政赤字の問題、3)アメリカという植民地の問題、4)重商主義政策の考え方という具体的な切り口から解説がなされたことで、問題の背景と解決が密接にかかわっていることを理解できる素晴らしいストーリーで講義が進んだ。
問題解決をするには、問題を課題の形に翻訳しなおさなければならないということを実感できる解説と共に、経済学の重要なポイントについても学ぶことができた素晴らしい講義となった。
第六回
講師:樋口 裕一先生
「もはや能ある鷹は爪を隠す時代ではない。能力はアピールしなければ埋もれてしまう」という時代の流れを踏まえ、問題解決学の説明を前に、人生にとっての心構えを3点指摘。
- 「自分はこういう人間なんだ」という思い込みはやめてしまえ。やればできてしまうことで自分を制約するな。
- 誰にでも好かれようと思うな。人の評価を気にして自分の意見を言うのをやめてしまうな。
- 上手にアピールしろ。そして上手な口癖を身につけろ(人は発する言葉で知的にも見え、馬鹿にも見える)。
そのうえで、自分をアピールする(最大の発信力の)一例として、「 “感じよく”反論する力=反論法」を解説し演習が行われた。反論の仕方によっては、それが問題解決そのものになるからだ。高度な内容を自身の経験でわかりやすく解説した講義は、学生にとって非常に刺激的な講義になりました。最後には、理解の定着のため、反論の仕方演習を講義内課題として実施。素晴らしい回答も多々提出され、学生が真剣に聞いていた成果が目に見える形で示されることになった。