PROFILE:諸橋正幸(もろはし・まさゆき)
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所などを経て1999年多摩大学教授就任。2008年4月より経営情報学部の学部長をつとめる。
PROFILE:松林正一郎(まつばやし・しょういちろう)
東京大学工学部都市工学科卒業、三井物産入社。マサチューセッツ工科大学にてMBAを取得し、米国駐在10年、ドイツ駐在4年の経験を持つ。経営企画部門、食料部門、人事部門、三井物産人材開発株式会社社長を経て、2008年10月から多摩大学グローバルスタディーズ学部長に就任。
―多摩大学は就職対策としてどんな取組みをしているのでしょうか?
【諸橋】ビジネスに役立つ理論と実践力が4年間でしっかり身につくようなカリキュラムを構成しています。一般的には必修科目と別にキャリア科目を設けている大学が多いのですが、本学はすべての科目において「就業力」を高めるための教育がなされています。
【松林】ある調査によると、企業が新卒の学生に求める力は「コミュニケーション力」と「行動力」だそうです。しかしながら企業は新卒者に高度なスキルや豊富な経験を求めているわけではありません。彼らが重視するのは「伸びしろ」があるかどうか。つまり謙虚でよく勉強し、チャレンジ精神旺盛な人を求めているのです。そこで本学は実践を重んじ、多くの企業から求められるような人材を育成することに主眼を置いた教育をしています。
―経営情報学部とグローバルスタディーズ学部の特徴を教えてください
【諸橋】経営情報学部のモットーは「教室を捨てて外に出よう」です。そのため学生が自分のアイデアや思いを発信して仲間をつのり、実際にプロジェクトを動かすという授業やゼミナールがたくさんあります。例えば昨年は増上寺での「キャンドルナイト」や、子どもたちに狂言の面白さを伝えるイベントを企画・運営したゼミがありました。また企業で実際に活躍した経験がある人を講師として迎え、学生たちにその経験をあますことなく伝えることを重視しているのも特徴だと思います。
【松林】将来海外で仕事をしたいと考える学生はもちろん、国内でも外国人と一緒に仕事をする機会が増えることは明らかです。そこでグローバルスタディーズ学部では、英語によるコミュニケーション力を養うカリキュラムを充実させています。短期海外留学プログラムを利用して単位を取得することも可能で、現地で生きた英語を学ぶという経験は、大きな自信につながることでしょう。
また年々就職活動の時期が早まっていますが、グローバルスタディーズ学部は1年目でキャリア科目が必修、2年目にはインターンシップで就業体験ができます。このように早い段階から社会に出るための準備ができるのも強みです。
―両学部の就職率や就職先の状況などをお話しいただけますか?
【諸橋】20年ほど前に企業が求めるITスキルはワードやエクセル程度でしたが、最近はデータから顧客の動向を割り出し、ビジネスを提案するといった高度な能力が求められるようになりました。しかし本学部には最先端のデータ分析の専門家が講師として4名在籍しているので、そうした要望にも迅速に対応できると自負しています。そのため経営情報学部は情報通信関連企業への就職に強く、続いてサービス業、流通業が多いです。
【松林】グローバルスタディーズ学部は女子学生が非常に健闘しており、就職先としてはサービス業や旅行代理店、あるいはホテル・外食産業が多いです。
私自身も外食産業や小売業の経験があり、顧客満足やホスピタリティに関してはより実践的な教育ができます。それに今は海外からの観光客がたくさんやってくる時代。そんな状況に対応でき、人の役に立つことを自分の喜びとするような学生は、必然的に多くの企業から声がかかると思います。
―多摩大学で学んだことを生かして活躍している在校生・卒業生を紹介していただけますか?
【諸橋】IT業界で新しいビジネスを始めた卒業生がいます。本学は起業家精神を養うことも重視していますので、卒業して10~15年経つ1期生、2期生が活躍しはじめています。また、あちこち歩き回って撮影した100万枚の写真でモザイクをつくるという企画を打ち出し、実現に向けてがんばっている在校生もいます。
【松林】グローバルスタディーズ学部も、「エコ多摩」というサークルに所属して多摩地域の清掃活動に参加したり、特定のテーマでディスカッションする「ワールドカフェ」を企画したりと、意欲的な学生がたくさんいます。
―そういった学生が輩出する背景は何だとお考えですか?
【諸橋】多摩大学では学生が発言したり、アイデアを発表したりする機会がたくさん与えられるからだと思います。特にオープンキャンパスがいい例で、本学は企画・運営をほとんど学生に任せています。
学生に自分の大学の特徴やPRポイントを考えさせ、高校生にとって魅力的なイベントを提案したり、そこから得たアイデアを授業にフィードバックしたりします。
これは学生、教員、見学に来た高校生の三者すべてにメリットがありますし、大学という舞台で一つのビジネスを動かすチャンスでもあります。
―お二人はどのような学生時代を送ってこられたのでしょうか?
【諸橋】高校生の頃に得意だった科目は数学と古文でした。それぞれの魅力を教えてくれた先生の影響が大きかったと思います。正確に言うと数学の魅力を教えてくれたのは物理の先生でしたが、彼はことあるごとに「数式は美しい」「数学はサイエンスではなく芸術だ」と話していました。古文の先生は本来授業で教えるべきことをほったらかしにして『源氏物語』の名文を解説していましたね(笑)
そのため進路は理系か文系かと、非常に迷ったことを覚えています。結局は理系に進み、大学でコンピューターや情報処理関係の学問を修めて就職したのですが、なぜか「お前は人工知能を使って言葉を理解するシステムを解明するプロジェクトに入れ」と言われ、ちょうど自分が好きな分野の中間に位置する仕事をすることができました。
こんな経験からも、若いときはあまり自分を固定せず、興味があることには何でもチャレンジしたほうがいいのではないかと思います。
【松林】私は九州の中高一貫校に通っていました。坊主頭に下駄履きといういでたちで6~7キロの道のりを自転車で通学する毎日でした。中学のときは軟式野球部に所属し、ポジションはセカンド。中学、高校と体を鍛えられたので、今でも体力や筋力には自信があります。
私も数学が得意だったので大学は理系に進み、その後商社に入りました。特に面白かった仕事はディズニーランドの誘致プロジェクトです。開園する4~5年前から担当したのですが、英語で交渉したり契約書を読んだりすることはもちろん、アメリカに留学もしました。先輩や同僚からもらったチャンスや経験も私のキャリア形成に大きな影響を与えたと思います。
―自分も学生時代は多摩大学で学びたかった、と思わせるカリキュラムや環境はありますか?
【諸橋】特定の授業ではなく、多摩大が持つ「情熱」を挙げたいと思います。本学の教員は一人ひとりの学生にしっかり向き合う覚悟があり、もし悩みがあるのなら、いつでも手助けしようと考えているからです。とはいえ過保護に陥ることなく、常によりよい教育を目指す姿勢がとてもいいと思います。
【松林】海外留学をはじめ、いろいろな経験ができるシステムが用意されていることです。また学部そのものがグローバルな環境であり、外国人の先生や留学生も大勢います。新しい時代の空気を吸い、それに見合った人物になれる。多摩大はとても充実した時間が過ごせる場所だと思います。
―最後に、この番組を聞いている高校生へメッセージをお願いいたします
【諸橋】自分に与えられたチャンスは必ず生かしてほしいと思います。たとえ心の準備ができていなくても、一歩踏み出すことが重要です。松下幸之助はよく、「やってみなはれ」と言いましたが、何事にもチャレンジする勇気を持つことが大切だと思います。少しでも面白そうだと思ったら、利害を考えずにとにかくやってみる。これは私自身も心がけていることです。
【松林】仮に具体的な将来像を描けていなくても、英語や海外に興味があるという気持ちを大切にしてほしいと思います。英語に興味があるということは、その向こうにある世界に興味があるということ。本学は学生が充実した4年間を過ごし、天職につくための応援を惜しみません。私自身も、「グローバルスタディーズ学部に入って本当によかった」と思ってもらえるよう、日々努力をしています。(了)